砂漠で死にたかった。
先の見えない労働、度重なる身内の不幸、加齢と比例して積もりゆく中身のない不安......
摩耗した精神を炎天下の砂漠に晒して。
燃やし、焦がし、殺し尽くすのだ。
これは灼熱の2025年8月後半に、死を求めて鳥取砂丘へ向かった愚かな鳥の話だ。
この記事は、「ここが舞台だ！スタァライト Advent Calendar 2025」に参加しています。
だいぶスタァライト要素の少ない自分語りになるので、モデリング進捗をオマケしておきます。
はじめに
一人旅にハマっていた2025年上期。
そうだ、鳥取砂丘に行こう。
下記２つの作品の追体験を得たかったのである。
①サハラに死す
だが、サハラよ！
俺は不死鳥のように、お前に何度でも、命ある限り挑む。
ラクダ一匹と共に、サハラ砂漠横断単独行で燃え尽きてしまった上温湯隆氏のお話。
彼が砂漠の何に惹かれ、そして死んでいったのか？
砂の上を歩いて確かめなければならないと思った。
②劇場版スタァライト
https://cinema.revuestarlight.com/
生まれ変われ。古い肉体を壊し、新たな血肉を吹き込んで。
舞台少女たちの、死と再生の物語。
作中で起きた出来事を羅列してみると
どんな映画だよ。
しかしながら、レヴューの果てに様々なバリエーションの死が溢れているのだ。
特に冒頭、終盤の砂漠には
愛城華恋の死と虚無が広がっている。
奇しくもリバイバル上映が迫っていた中、私も砂の上を彷徨い、死を実感したいと思った。
何故、死を実感したいのか。
生まれ変わるためには一度「死」というプロセスが必要だからだ。
これは5月開催の2.5次元スタッフフェスで得た私のテーマだ。
ヨシモトシンヤさん「生まれ変わるために、一度死んでもらいましょう。」
即興で効果音を作るコーナーで出た「生まれ変わる音」というお題。
プロが出した回答は、「銃声音」だった。
生まれ変わるために、まず死ぬ。
この考えが当時の私を支配していた。
前置きが長いが、鳥取砂丘道中記の開演である。
鳥取まで
鳥取までは近いようで遠い。
我が福岡からは新幹線で岡山 or 姫路まで行き、そこから特急スーパーいなば or はくとを利用する。
「いなば」と「はくと」合わせて「因幡の白兎」となる。良いセンスだ。
双子が生まれたらこんな名前にしようという件、嫁に話しました。
俺に嫁は居ませんでした。
途端に泣き崩れるオレ。
鳥取駅
着いた。
意外と(偏見)利用者で溢れかえっており、とても活発で綺麗な駅だった。
補給を済ませる。デカいセブンがあるのでナッツ類とジャーキーを購入。
水分としてポカリ600mlを3本用意した。
後にこの購入を後悔することになる。
砂丘へ
巨大なバスターミナルである鳥取駅。
39番の砂丘線に乗り込む。
支払いは現金のみ、380円なので注意だ。
砂丘到着
バスから降り、飲食店やお土産屋が立ち並ぶ通りを抜け、木製の階段を上がっていく。いざ砂丘へ。
うーん、思ってたのと違う！
砂丘といいつつ、視界に入るのはほとんど海。
暑い日なら観光客は少ないかと思えば、むしろ逆。
家族連れやカップル、外国人観光客などが思い思いにビーチを楽しみ、
パラグライダーなんかを飛ばしていたりもする。
なんだこれは......解釈違いだ......
しかし絶景かな、あたり一面に広がる日本海。
直近の呉旅行で海が好きになっていたこともあり、しばらく過ごした。
西へ
このままではただの観光になってしまう。
稜線に沿って人が居ない西の方へ進む。
"砂丘"というだけあって登り降りを繰り返す。
スニーカーに砂が入り込み、重いし暑い。
緑化が見える端の方まで進み、ふと後ろを見たとき。
人が見えなくなった。
360度、砂、砂、砂。
来た道もわからなくなる。
これなのか、上温湯氏が見たものは。愛城華恋が見たものは。
行く先もわからない、自分以外なにもない。ただ暑い。
ここならばと思った。
突然のおわり
シートを敷いて座り込みジャーキーを噛む。
「サハラに死す」を読んだり、劇スの音楽を聴きながら考える。
- provided courtesy of iTunes
なんにも、ない。私は。
（この間にとんでもない量の自虐を書いたが削除）
やりたい事と、今の仕事はズレているが、次の舞台に進む勇気もない。
食っていくことはできないと分かっている3Dモデリングの勉強と
推し活、酒にお金と時間を浪費していく日々。
小一時間、負の考えを巡らせるが、おわりは突然やってきた。
水が尽きた。
ポカリ3本ではとても夏の砂上に耐えられなかったのである。
窓辺のハイライト
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ！！！
別に肉体的に死に来たわけではない！
行きたいライブが、観たい舞台がまだあるんだ！！！
無補給・水無しの撤退戦が始まった。
丘を登るとチラッと見える馬の背の人々が米粒サイズに見える。遠い。
砂が踏み固められて歩きやすいルートを通りたいが、わからない。
いちいち足が滑って焦る。
往路と別に進んでしまっているようだ。
謎の虹色の虫が渇死している。
どこまで歩いたのか。振り返ると、忘れられない景色が見えた。
砂浜と海辺。
走る華恋が見えたんだ。
次の舞台を目指すには、走り続けるしかない。
からっぽの時だってそりゃあるさ それでも進み続けるんだ。
私も走った。
なんとか砂と汗まみれになりながら、なんとか無事に戻れましたとさ。
結論
窓辺のハイライトは最高ですね。
（Starry Horizonでも聞けて良かったです。）
結局、砂丘に行って何か劇的に変わったわけではないけど、
変わりたいなら日々を積み重ねるしかないという当たり前の結論にいたりました。
改めてモデリングの勉強を始めたり、筋トレ齧りしたり、人見知りだけど所謂オフ会に出てみたり。
人より遅いけどちょっとずつ頑張って新しい自分になれる年にしたいな。
うん、死とはなんぞやみたいな格好良い考察がしたかったけど全然まとまりませんでした！！時間もない！！！
これから鳥取砂丘に行く人は水の用意と装備（長靴など防砂対策）をしっかり見直してください。
閉廷！！！！！
余談
2026年1月4日まで開催中！
終了後、作品は文字通り砂に帰ってしまうそうなので興味ある方は急げ！！
【同時上映】愛城華恋再生産モデリング進捗
2025年、なんとか99期生を全員モデリングすることができた。
できたのだが......まぁ、本当に形だけで全然理想に届いていない。
初めてキャラモデルに挑戦し、華恋を作ったのが2021年暮れ。
あれからもゲームやアニメなど3Dは進化し過ぎて目が肥えてしまっている。
という訳で、愛城華恋ver2.0を制作中！
現在は頭部と髪の調整で苦戦中。
絵心は無いけど工夫してなんとかテクスチャも仕上げたい！
来年内の完成を目指して日々精進中！
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